三尋木咏・回顧録覚書-4- 「在りし日の母親」

Date:2019年6月17日(月)

1 母親は身体が弱くて、しばしばベッドで寝込んでいた。

 母親が病気で寝込んでいるとき、私は一緒のベッドで眠れず、お父さんが仕事でいない日などは一人寂しくベッドで眠っていた。

 仕事人間のお父さんもこういう時はだいたい戻ってきてくれてたんだけど、それでもいつも何とかなっているわけでは無かった。

 お医者さんや家の者が看病してくれたけど、病気で苦しそうな母親を見たくなかった私はダメだと言われてもこっそりと新しい氷枕を作ってきたり、ヨーグルトやアイスを母親のもとに届けていた。

 まあ、生まれて5年と経っていない子供のすることだったから、氷枕なんてちゃんと作れなかったし、ヨーグルトやアイスも母親のもとに届く前に床に落としてしまうことが多々あった。

 母親の風邪がうつることもあった。ただ、私が失敗してもお父さんも母親も誰もかれもが怒ったりはしなかった。言ったとしても「ダメだよ」とか「ダメだぞ」ってちょっと言われるぐらいだったかな。

 私は母親のことが好きだったし、諌められようが、あの人が家からいなくなるまでずっとそうしていた。

 母親は褒めてくれたけど、私が看病することに関して……本当はどう思っていたんだろうか?

 いまとなっては、もうわからないことだけど。

記事まとめ(日誌系)

続きを読む


カテゴリー: 未分類 タグ: パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。