月別アーカイブ: 2015年2月

初書け麻参加&記事紹介

テルティマヤ・ツモルキンです。昨晩、前々から気になっていた書け麻に参加してみました~ 続きを読む

【SSS】憩 -Kei- 白糸台編第15話『思惑』

和(虎姫選抜戦の五日後。部内で代表チーム選抜決定戦が行われました)

和(それも四神対抗戦というそうです。要するに、虎姫、竜姫、鳳姫、狼姫の4チーム対抗戦ということですが……本来、四神というなら狼ではなくて亀でしょうに)デショウニ

和(もちろん虎姫は危なげなく勝利。四神対抗戦は10万点の持ち点勝負ではなく、各人25000点持ちでの勝負となる。要するに、虎姫だと宮永さん一人だけで稼いで終了というわけではなく、チームとしての総合力が試される)

和(もっとも、虎姫は5区間すべてで1位を取り、文句なしの代表選出でした)

和(私の相手はデジタル麻雀を基本コンセプトとしている狼姫のリーダー、それに2年生4人で作っていた竜姫に加わった亦野先輩が相手だった)

和(結果は私の辛勝。部内戦でランキング9位と5位を同時に破り、私の部内での見られ方もずいぶんと変わった)

『原村と打つと、自分の思い通りにいかない』

和(自然と、そう言われるようになっていた)

和(もっとも、私に言わせると──)

久「和(思い通りになる麻雀なんて存在しないのですけど)」

和「さっきから、何を言ってますか……」

久「いやー、今の和ならこんなことを想ってるんじゃないかなーって」

和「勝手に人の考えを作らないでください」

久「でも、本当に強くなったわねー、和。おねーさんはうれしいわよー」グリグリ

和「髪を乱さないでください……まったく、そういうことは自分の彼女さんにしてあげたらどうですか」

久「お、嫉妬?」

和「ちがいますっ!」

久「大丈夫よ、私はこの部の中では和一筋だから」

和「部外では違うということですね。よくわかりました」

久「すねないすねない。それより、そろそろ1回くらい勝てないものかしらね」

和(……)#

和(そう。ここからが本当の私のモノローグです)

和(あれから5日──私は、宮永先輩、福路キャプテン、久先輩とひたすら打ち続けました)

和(この3人を相手にひたすら打ち続けるということがどういうことなのか)

和「……部長の気持ちが分かりました」ズーン

菫「わかってくれる奴が来てくれてうれしいよ」ズーン

美「あらあら。二人とも落ち込んでしまいましたね」

照「菫はいつものことだから」

久「さーって、ティータイムの前にもう1回、和をやっつけるとしましょうかー」

和「弘世部長。あそこに鬼がいます」

菫「そうか。私の目には悪魔が映っているぞ」

照「ほら、言われてるよ、鬼」

久「何言ってるのよ悪魔」

美「全く、鬼とか悪魔とか、物騒ですね」

照久「「おいこら、そこの妖怪」」

和(……虎姫はいつもこんな感じです)

和(3年生4人だからなのか、いつも和気藹々としていて、その中に私が自然に入ることができました)

和(きっと、たくさん気を使ってくれているのだと、それくらいのことはわかります)

和(特に、私をここまで導いてくれた、久先輩)

久「和(そんな久先輩のことが、私は大好きです)」

和「いい加減にしないとぶちのめしますよ」

──西東京大会

和(ふう……さて、オーラスですね)

和(ここまで前後半通してパーフェクトゲーム……今日はずいぶんと運がいいようです)

和(それにしても、この下家の人、自風暗刻で立直したら一発ツモがつくそうですが)

和(そんなオカルト──)

A「リーチ!」

和「──通じません」

和(結局、西東京大会は何の危なげもなく、大会史上初の40万点を突破しての優勝だった)

和(私もコツコツと積み上げた点棒が最終的には前後半合わせて+4万点になっていた)

和(まあ、先鋒と中堅だけで25万点も稼いでいて、部長と私がそれぞれ4万点稼いでいたら、最後に待ち構えているあの人が黙っていられるはずもない)

久「──残念、あなただけはトバせなかったわね」

和(松庵女学院の多治比真佑子さん──強い人だった。久先輩にきっちり食いついていった)

和(きっと、今の私よりもずっと強いだろう)

和(でも)

和(私もまだ、もっと強くなれる)

──西東京大会個人戦

菫「さて、いよいよ個人戦の日だな」

久「今年は菫も行けるといいわね、全国大会」

菫「行ってみせるさ。強い敵ばかりで、くじけそうだがな」

美「勝ち目のない戦いでもあきらめない弘世さんが、私は好きですよ」

照「ていうか菫、普通に今年は行けるでしょ……」

久「そうね。今年からのルール変更──昨年度のチャンピオンがいる都道府県は代表枠1人追加」

美「私たち『3人』が代表になっても、あと1人個人戦に出られますね」

照「まあ、そのせいで個人戦が奇数人数になるんだけど……運営事務局、どうするつもりなんだろ」

菫「一人の対局数を4の倍数にすれば調整次第でどうにかなるだろう」

照「じゃあ、1日目に半荘8回か12回かやって、上位16名を決める感じかな」

久「詳しいルールはあとで発表があるみたいだし、今はありがたく白糸台で4枠いただきましょうね」

照「そんな菫が一番勝ちあがるのに危険だと思っている相手は?」

菫「そうだな。松庵の多治比がやはり難敵だろうし、白糸台から出ている残りの4人が強敵だろうな」

菫「特に、白糸台のゴールデンルーキーは、団体戦の副将で前後半通してパーフェクトゲームをやったらしいからな。一番注意すべき相手だ」

和「……のぞむところです。先日の選抜戦では部長より稼げませんでしたから、今日は直接当たったときには全力でいかせてもらいます」

──1日目、東風戦20半荘

1位 宮永照(白糸台)+418
2位 上埜久(白糸台)+389
3位 福路美穂子(白糸台)+386
4位 原村和(白糸台)+302
5位 多治比真佑子(松庵)+273
6位 弘世菫(白糸台)+260
……

照「6位とか」

久「1、2年生に負けてるとか」

美「こんなこともありますよ、弘世さん」

菫「いや、お前らな……原村と多治比は上位3人とあたってないが、私はお前たち3人全員とあてられたんだぞ。勝てという方が無理に決まってるだろうが」

照「運も実力のうち」

久「そもそも私たちに稼ぎ負けなければいいだけよ」

美「ファイトです、弘世さん」

菫「この鬼ども」

──2日目、半荘戦(1日目の上位64人のみで10回対戦)

和(対戦相手はコンピューターで無作為に選ばれる)

和(昨日の部長のように『3人』全員と当たる可能性もあれば、まったく当たらない可能性もある)

和(当然、当たらない方が点数を稼ぐ可能性があるわけですが)

和(私も含め、虎姫の5人は最初の3戦ではそれぞれ当たることもなく、全員が3勝しました。もちろん、松庵の多治比先輩も)

1位 宮永照 43+50+51=144
2位 上埜久 53+38+48=139
2位 福路美穂子 47+47+45=139
4位 弘世菫 33+24+32=89
5位 原村和 27+29+28=84
6位 多治比真佑子 23+26+28=77

和(ですが、午前最終戦──4戦目のことでした)

記者A「宮永照が負けたぞ!」

記者B「公式戦で負けたのは1年ぶりだ!」

記者C「やっぱり連勝記録を止めたのは──」

久「……ふふ、悪かったわね、照」

照「久……」

久「誰かをトバしつつ、あなたを100点でもいいから上回る、そのタイミングをはかっていたんだけれど、ばっちりだったわ」

照「驚いた。まさかこんなふうに止められるなんて」

久「同じことを2回やれって言われても、さすがに難しいけどね。悪いけどこれで、私がトップよ」

美「あら、トップを語るのは早いわよ、久。あなたたちがつぶしあってくれたおかげで、私がトップに立てたわ」ニッコリ

4戦終了時点

1位 福路美穂子 47+47+45+48=187
2位 上埜久 53+38+48+27=166
3位 宮永照 43+50+51+6=150
4位 原村和 27+29+28+39=123
5位 弘世菫 33+24+32+28=117
6位 多治比真佑子 23+26+28+30=107

久「ま、そうなるとは思ってたけどね」

美「4戦全焼はこれで5人だけ。7位以下は相当離れたから、このままいけば上位6人の誰かで決まりそうですね」

照「総合1位は譲らない」

久「あら、それは私か美穂子のどっちかと当たらないと無理じゃない?」

和「宮永さん以外の誰にも負けるつもりはないというつもりですか」

久「当然でしょ。この私が負けるかもしれないって思うのは高校生の中でたった2人だけよ」

和「ふたり……?」

久「そ。宮永照ともう一人」

和「それは──」

久「──三箇牧の、荒川憩」

6戦目

和(……さすがに、チャンピオンですね)

照「さすが原村さんだね。前にやったときよりも強くなった。この調子でがんばって」

3位 宮永照 43+50+51+6+48+46=244
4位 原村和 27+29+28+39+28+1=152

菫(くそっ! やはり『3人』の壁は越えられないのか!)

美「やはり弘世さんの力は周りに比べると断然高いですね。でも、まだまだですよ」

1位 福路美穂子 47+47+45+48+44+46=277
5位 弘世菫 33+24+32+28+33-1=149

真(リベンジ、ならず──!)

久「やっぱりあなた上手いわねぇ……白糸台に来てたら文句なしで虎姫レギュラーだったわよ。ご一緒できなくて残念だわ」

2位 上埜久 53+38+48+27+47+45=258
6位 多治比真佑子 23+26+28+30+31+10=148

和(6戦目で、4、5、6位が1、2、3位とあたってそれぞれ1敗)

和(そして、運命の第10戦を迎えました)

対局F

照「……よかった。これで追い抜ける」ゴッ

美「あらあら……最終戦であたらなければ間違いなく1位通過だったんですけどね」ゴッ

A「 」orz←照と3回目

B「 」orz←美穂子と3回目

対局J

久「あはははは、私なんかがこの卓に交じってもいいのかしら。これって明確な『4位決定戦』でしょ?」

和「運ではない作為を感じます」

菫「だが、これなら誰が4位になっても文句はなかろう」

真「……負けません!」

9戦終了時点

1位 福路美穂子 47+47+45+48+44+46+47+47+47=418
2位 上埜久 53+38+48+27+47+45+42+52+50=402
3位 宮永照 43+50+51+6+48+46+47+57+53=401
4位 原村和 27+29+28+39+28+1+28+30+28=238
5位 弘世菫 33+24+32+28+33-1+30+26+28=233
6位 多治比真佑子 23+26+28+30+31+10+31+28+24=231

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