記入日:2011年02月14日(月)
今日はバレンタインだった。
女子校とはいえ、昨今は友チョコなどのやり取りもあるので女子校だからといってバレンタインがまったく関係無いわけではない。……いや、昔から関係あったかもしれない。
麻雀部の部員達も例外ではなく、千里山女子内で最も部員数の多い麻雀部が校内では一番影響を受けていたかもしれない。というのも、部内で顔見知りが多いため、一人に渡せばもう一人、二人に渡せばもう三人と「あの子に渡したけど、すごく親しいってわけじゃないけどあの子にも渡さないとマズイよね」といった連鎖が起こっていた。
部員達もバレンタインは出費が多く、手放しに喜べるイベントでは無かったかもしれない。監督着任時から頭を悩ませていた問題でもある。私は貰う専門なので一番大変なのはホワイトデーだが。
去年のクリスマス、浩子にそのことを愚痴っていたら「部内でのやり取りは禁止。代わりに一人2、300円ぐらい徴収して全員でチョコレート試食会で済ませればいいのでは?」と言われた。というわけで、今年は学校側に許可を取ってそんな形でバレンタインを乗り切ることになった。ちゃんとやり取りしたい者は隠れてやるだろうし、あげるかあげないか微妙なラインでのやり取りはこれで減ったはずだ。
とはいえ、今年も校内では相当数のチョコレートのやり取りがあったらしく、昼間には部員の園城寺がチョコレートの食べ過ぎで鼻血を出し、体調が悪くなったので早退することになった。ちょうど今日は検査の日だったそうで、夕方の試食会まで時間もあったので園城寺を病院まで送りにいくことにした。それ以外には特に事件など無かった。絶対に無かった。
病院で合流した彼女の母親に後を任せ、さあ学校に戻ろう、と思っていたら病院近くの喫茶店で荒川を見かけた。婦長が「荒川先生が行方不明」と言っていたので、おそらくサボっていたのだろう。
茶化して、その後に婦長に通報してやろうと喫茶店に入ろうとしたところ、死んだはずのやつがいた。
正確には本人では無い。おそらく娘だろう。冬とはいえ、かなりの厚着をしていた。確かいま洋榎と同じ年頃だから学生のはずだ。ひょっとして、学校を休んで病院に来ていたのだろうか?
二人はその後も喫茶店で話をしていて、会いに行こうか迷っているうちに会計を済ませて出て行っていた。
結局、慌てて隠れてしまい、顔を合わすことすら出来なかったが、どうするべきだったのだろうか。