千里山女子高校・麻雀部監督の日記-55-(終)

記入日:2013月04月09日(火)

1 今日、ようやく監督室の荷物が全て引き取られて行った。

 千里山の監督となった半年前。初めてここに来たときは前任の監督――愛宕雅枝監督の入っている部屋とは思えないほど雑多に物が置かれていた目を丸くした。私は直接面識は無いものの、公私共に自分に厳しそうだから部屋を散らかしたりしない、などという勝手なイメージを抱いていた所為だと思う。

 ただ、それらの荷物は正確には愛宕監督の荷物では無かった。

 愛宕監督はもう自分の荷物は引き上げており、そこに残っていたのは卒業生――愛宕監督の教え子達の私物だった。それぞれが持ってきた本や遊び道具がそのまま置かれているらしかった。

 彼女たちは愛宕監督に言われて持って帰りはするものの、こっそりと別の私物を置いて帰っていたらしい。おそらく遊びに来る口実作りをしていたんだと思う。

 学生の頃と変わらないノリで母校を訪れ、監督室で監督と駄弁る。監督はそれに仕方なさそうに応じつつも、思い出話に花を咲かせる……ここで目を閉じるとそんな光景が思い浮かんだ。

 累積されていった愛宕監督と教え子達の思い出。その思い出の品が全て引き取られて行き、この部屋も随分と寂しくなってしまった。

 願わくば、私も愛宕監督がいた監督室のように――

記事まとめ(日誌系)

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