松実宥の日記-54-

2011年10月08日(土) 天気:晴れ

1 お母さんへ。

 今日はお父さんとお出かけしてました。今日からお父さんが好きな陶芸家さんの窯出しが始まるので、お父さんは朝からお仕事しつつ、そわそわしてました。お父さんは一人で行こうとしてたけど、私と玄ちゃんもお父さんに引っ付いてお出かけすることにしました。

 陶芸家さんのお家は山奥にあります。お父さんの車に乗って行きましたが、やっぱり寒かったです。でも、お父さんが注文していたお皿と、他に気に入ったお皿を買って嬉しそうにしているのを見て、ちょっと胸がぽかぽかしました。

 帰りは途中の喫茶店でケーキを食べて、三人でちょっとお散歩してました。

 お散歩してたら山道の横合いから女の子が出てきて、「く、クマだー!?」と言って殴り掛かってきました。返り討ちにあってたけど、クマ(お父さん)が女の子二人(私と玄ちゃん)を山奥にさらっていくように見えたそうです。お父さん、クマに間違えられてちょっとしょんぼりしてました。

 女の子――年上の人だったから女の人かな――は、山をうろついて修行していたそうです。高鴨ちゃんみたいなことしてるなぁ、と思いつつ、四人で歩いて道路まで戻ってきたところで「ついにシャバに戻ってきた!」と道路に駆け出していった女の人が私達の目の前で車にハネられました。

 車が大破して乗ってた人達三人が病院に運び込まれて、私達もさっきまで警察の人に話を聞かれていました。一応、運転していた人の罪になるみたいです。ハネられた女の人は無傷で玄ちゃんと温泉入っておもち談義してるのに、不思議だなぁ、って思いました。

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