福路美穂子、「上埜さん」との決別

長野県の麻雀名門校、風越女子のキャプテンである福路美穂子といえば、上埜久こと竹井久に病的なまでに執着するキャラクターとしで有名であり、「キャップ」とも呼ばれます。

しかしそのキャラクター性はSSや掲示板において誇張されたものであり、本編では久ちゃんに面と向かって「上埜さん」と呼びかけたことはないどころか、まともなコミュニケーションが描かれたことすら少ないというのもまた周知の事実です。

それでは、おもしろおかしく誇張されない福路美穂子は、竹井久とどのような関係性を築いている、或いはこれから築くのでしょうか。

今回はアニメの第12話と21話を手がかりに、福路美穂子と上埜久及び竹井久のかかわりについて妄想していきたいと思います。

上埜久

まず、2人が初めて出会ったのはインターミドルでした。

美穂子は麻雀は当時も強いほうだったでしょうが、「中学の頃から同い年の仲良しができなくなっちゃって」と話していたので、すでに寂しい学校生活を送っていたと思われます。

しかし上埜久に、それなりに自信もあったであろう麻雀で圧倒され、なんだかよくわからないけどカッコイイいほめ言葉を投げかけられます。インパクト大ですよねそりゃ。

同級生は自分を認めてくれない。でも上埜さんは褒めてくれた。
美穂子が常に右目を閉じているのがコンプレックスからだとすれば、最大のコンプレックスを肯定してもらえたことになります。

しかし上埜久は大会を不戦敗し、風越に入ってくることもありませんでした。
久はその頃厳しい現実に直面していたのでしょうが、美穂子からすれば久は煙のように消えてしまった人です。高校の大会会場でも探したようですが見つからず。

三年生となった本編で、部員から久ちゃんの牌譜をもらっていたのに試合が始まるまで「清澄高校の竹井久=上埜久」と気づけなかったのは、彼女が上埜久との再会をほぼ諦めていたからではないでしょうか。

そして相変わらず美穂子は同級生の間では浮き気味。孤独の中で「上埜さん」は美化されると共に、「夢のお友達」として偶像化されていったのかもしれないと私は思っています。自分を受け入れてくれる、しかもカッコいい、理想の友達です。

しかし高校三年生になって、美穂子は「竹井久」となった上埜さんに再会します。

個人戦予選の一日目でついに対局。久は美穂子の記憶通りの打ち回しで活躍します。

「ここで上埜さんに負けても、本戦には進める…」と勝利を諦めかけた美穂子。
彼女は昨年団体戦で惨敗した龍門淵との再戦にも意欲を燃やしていたことから、少なくとも麻雀に関しては自信があり、臆病ではありません。それなのになぜ弱気になってしまったのか。

私は、久が美穂子の「憧れ」だったからだと考えています。

上埜久はインターミドルで美穂子の上を行きました。その記憶の印象のまま、美穂子の中では止まっていたのです。

そのため、美穂子の脳内設定では、「上埜さん」は自分より強い雀士であり、だから自分は負けても仕方がないと無意識に感じていたのではないでしょうか。

しかし彼女を奮い立たせたのは風越の後輩たちの言葉でした。

これは美穂子の中で、夢の中の「上埜さん」に、現実の後輩が、そして自力で築いた後輩たちとの絆が勝利した瞬間だったと私は受け取っています。

「勝ちます…風越のキャプテンとして!」

福路美穂子として、ではないところに、後輩たちの思いを背負っているという自負が見えます。

そして「私達はもう、違う道を歩いてきたから」

ここで美穂子にとって初めて、目の前にいる久は、夢の中の「上埜さん」から、いま実在する個人である「竹井久」に変化したのではないでしょうか。これ以降は一度も、心の中でも「上埜さん」とは呼んでいません。

…呼んでないよね?
(追記:23話でも心の中では呼んでいました…。)

フリテンツモ

そしてオーラスでの逆転勝利。これで完全に、福路美穂子は「上埜さん」を乗り越え、中学時代の幼い憧れとの決別に成功したのです。

mippo 試合後

で、挨拶してさっぱり別れようとしましたが、コミュ力の高い久ちゃんはナチュラルに次に繋いじゃいます。さすが。
美穂子は顔を赤らめていましたが、ここで彼女が惹かれたのは「上埜久」ではなく「竹井久」だったのです。

つまり何が言いたいかと言うと、福路美穂子はすでに「上埜さん」を克服しているということ。

福路美穂子と竹井久が友情や恋愛関係を築くとしても、それは美穂子が「上埜さん」にどっぷり依存したものではなく、それぞれ自立した、対等な関係であるはずだということです。

追記でコメ返です。

余談ですが明日から新学期です。別にメゲません。


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