三尋木咏・回顧録覚書-13- 「家族ごっこ」

Date:2019年6月17日(月)

1 鬼怒川アナが家に来るようになって一週間ほど経った日だったか。その日から鬼怒川アナだけではなく、うちの監督も家に来るようになった。三人でよく私の作ったご飯を食べてたなぁ。

 監督と鬼怒川アナは高校からの付き合いだったらしい。確か九州のからやってきた監督と麻雀を通して友人になり、高校卒業後も交友は続き、ついには二人ともプロ雀士になったんだとか。

 ただ、鬼怒川アナの方はプロになって数年で自分の所属していたチームが無くなり、どこにも拾ってもらえず途方に暮れていたもののテレビ局に再就職。その後はアナウンサーとして活躍するようになっていまに至るらしい。

 再就職した時に監督があれこれと口利きしてくれたようで、監督には恩義を感じているんだとか。その恩義あるから監督のこと以外に接点無い私のことをアレコレ構ってくれたんだろうね。恩義感じているわりに、監督が何かやらかした時にはかなり容赦なく殴ってたけど……いや、友人として本気で止めようとしたからこそ、容赦なかったんだろうね。ストッパー役って感じか。

 二人はプライベートでの交友が続いていただけではなく、鬼怒川アナがアナウンサーに転向してからは鬼怒川アナが実況、監督が解説というコンビを長らく続けてきたらしい。結構人気のコンビだったみたい。

 うちのお父さんの数少ない趣味であるテレビ番組の録画でも二人が出てくる番組とかよく撮られてた。お父さんもファンだったんだろうねー……ひょっとして監督がカメラの前で脱ぎだすのを待ってたんだろうか。

 初めて解説として呼ばれた仕事で私はあんなことやらかしたわけだけど、鬼怒川アナと謝罪回り行った以外にも、監督が個別に謝罪して回ってくれてたみたい。

 監督にはトイレ入ってたら上から覗きこまれたりと数々の変態行為を仕掛けられたけど、色々と気を使ってくれることもあったんだよね。たまに「アンタは私の保護者か何かか」と言いたくなるぐらい構ってくることもあったんだけど……概ね感謝してる。

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