三尋木咏・回顧録覚書-20- 「母になる日」 (終)

Date:2019年6月17日(月)

1 日本シリーズを無事終えて、閉会式が終わったら監督と一緒に急いで病院に向かった。

 鬼怒川アナは死んでは無かったけど、意識も戻って無かった。お医者さん曰く、危険な状態は脱してたらしいんだけどね。

 毎日病院に通ったけど、鬼怒川アナは目を覚まさないし、日本シリーズのことで記者に絡んでくるし、私は沈んだりイライラしたりする日々が続いた。あの時期は珍しく監督がまともだったから、何だかんだで監督の存在は心の支えになってた気がする。

 日本シリーズの終わった数日後、鬼怒川アナは目を覚ましてくれた。

 検査とか終わって、ようやくまともに話出来るようになって、最初に聞かれたのが日本シリーズの結果だった。

 結果に関しては一応満足してもらえたみたいで、しばらく鬼怒川アナはニヤニヤしてたね。監督ほどではないにしろ、そこそこ明るい人ではあったけど、あんなにニヤニヤしてるのを見たのはあれが初めてだったかもしれない。

 喜んでもらえたのは何よりだったけど、後で試合経過見て監督から「キヌのことでずっと沈んでて前半戦落とした」って聞いたらしく、アレコレお説教されたけどね。まあ、事実ではあったから甘んじて受け入れた。

 その後は優勝と鬼怒川アナが無事だったことでテンション上がった監督が連日私に変態的行為を仕掛けてきて、挙句の果てには私誘拐して高飛びすることまで計画していたので、現行犯で捕まえて「頭冷やしてこい!」と警察に突き出すこととか色々あった。

 まあ、元監督もいまは実家の仕事手伝いつつ色々やってるみたい。

 いまでもたまに鬼怒川さんと三人でご飯食べたりしてるよ。

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