千里山女子高校・麻雀部監督の日記-24-

記入日:2010年7月11日(日)

2 今日、病院に担ぎ込まれていた七実が目を覚ました。

 きっかけはいつもの事だったが、渓のスカートを盗んだ七実が壮絶な鬼ごっこを繰り広げ、部まで逃げてきたところで牌譜のファイルを運んでいた園城寺と正面衝突――しかけたので七実がハリウッド映画ばりのアクションでガラスを突き破って回避して外に落下し頭から地面に突き刺さったというのが事件の顛末である。

 まあいつものごとく何事も無かったように起き上がるだろう、と思ったら垂直に突き刺さったまま動く気配がないため、慌てて救急車を呼ぶことになった。結局外傷も無く、今日まで意識が無かっただけだが、頭は無事ではなかった。

 まず、あれだけチートイツ好き(一番好きなのは四暗刻だが)のくせに「チートイツはクソ役」とか言い始めた。ついに本当の狂人と化したのかと思ったものの、よくよく思い出してみればこれは頭おかしくなる前の七実の言い草だ。どうも頭を打った拍子に頭だけ昔に戻ったらしい。

 ついに千里山女子麻雀部に、いや、千里山女子高校に平和が訪れるのか。そう思うと喜びのあまり部員総出で七実の病室で騒いでしまった。

 あまりにも騒ぎすぎて婦長がすごい形相でやってきたので、便乗して騒いでいた荒川を主犯として突き出しておいた。口に大量のサルミアッキ詰められて職場に連行される荒川を部員総出で見送ることになったが、それはわりとどうでもいい。

 問題は四国からわざわざ七実の見舞いにやってきた戒能だ。

 七実が見舞いに来た戒能相手に「何で大生院の戒能さんがここにいるの」「帰って」とか宣ったところ、戒能が「今度は記憶喪失プレイか何か?」と呆れ顔で七実の頭を引っぱたいた。するとなんということをしてくれたのでしょう、七実の頭が元通りになっていつものように戒能に抱きつきはじめた。余計なことを。

 短い平和だったが、よくよく考えてみれば七実ももう三年生。夏のインハイが終われば部を引退するわけだから、少しは千里山女子麻雀部に平和が戻ってくるだろう。それまでの我慢だ、多分。


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