三尋木咏・回顧録覚書-1- 「はじめに」

Date:2019年6月17日(月)

1 本を書くことになった。

 まあ、書くことになったといっても今までも何度か書いてきたんだけど、今回はちょっと特殊なものを書くことになった。本の内容というのがいわゆる回顧録というやつだ。

 出版社の人が「回顧録出しませんか?」と話を持ってきて、その日は機嫌良かったから「いいよいいよ」と二つ返事で決めてしまったものの、いまになって後悔している。だいたい回顧録なんてもっと年くってから書くべきだろう。

 うっかり返事してしまったので書いていこうと思うけど、問題は書く内容だろう。

 私、三尋木咏の人生はそれほど面白いものでは無い。

 商業的な意味ではそれなりに売れる本になるかもしれない。自分で言うのも何だけど、曲りなりにも国内ランク2位のプロ雀士だからね。ほんと自分で言うことではないけど。

 ただ、公表すると結構マズイ内容がアレコレとあるのだ。

 特にヤバイのが幼少期からプロ雀士になるまでだろうか。

 その辺のことを書くと本当にクビが飛びかねないので、本には当たり障りの無いことを書かないといけない。

 ただ、そうなると何を書くべきか? というところで迷ってしまう。

 あんまりにも当たり障りの無いことを書きすぎて、面白みが無くなってしまうだろう。だから、とりあえずは覚書としてざっと書いていって、あとで書いたらマズイことを削って本執筆に取り掛かっていくことにした。

 小鍛治プロと初めて会ったときのことから書こうと思ったけど、それだと回顧録というには話を端折り過ぎだし、大人しく最初から書いていこうと思う。

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